2009年を振り返って
今年もたくさんのお客様との出会い、情熱のある素晴らしいコーヒー人との出会いに感謝の一年でした。
中でも私たちにとって縁ある二人の生産者にお会いできたことは本当に感無量でした。
ホンジュラスのグレゴリオさんとコロンビアのリカウテさんです。
共にご自宅にお邪魔させていただいたことや目の前でカッピングして、その感想をお伝えできたことは、コーヒー屋冥利に尽きる一時でした。
彼らと私たちを繋いでくれたのは、カップ・オブ・エクセレンスという国際品評会です。先祖代々から受け継いだ土地でのコーヒーの生産が世界に認めらるということは、自信と誇りと信頼関係を取り戻すだけではなく、周囲の生産者にも好影響を与えるなど、その広がりは図り知れません。
横井珈琲がスペシャルティコーヒーに取り組みをはじめて早10年になりますが、その可能性や広がりをとても強く感じた1年でした。
去年(2008年)の11月、エスプレッソドリンクサービスの環境が叶い、約1年と数ヶ月が過ぎましたが、遅ればせながらスペシャルティコーヒーとエスプレッソドリンクが「なるほど!」とやっと繋がったんですね。
スペシャルティコーヒーの勉強を始めた頃は、エスプレッソドリンクとは中々繋げにくいというか、繋ぎがたいものがありましたのも、そのものの確信に触れる「体験」がなかったからだと今更ながら気付いたんです。
具体的にその一部をあげると焙煎プロセスとエージングに関することがとても大きかったです。
ことエージング(焙煎後、どれだけ熟成させるか「休ませるか」)に関しては自分の中にあった、「ある一定の期間を要する」(例えば1週間とか10日以上とか...)という観念的なものが取り払われましたのも、焙煎プロセスと密接な関係がありました。
ですから、スペシャルティコーヒーにおけるエスプレッソドリンクは今まで自分の殻の中にあったものと違っていたんです。その殻を破るきっかけを掴むことが出来た1年でもありました。それは「触れて、見て実践」、「失敗して実践」、「感動して実践」、その繰り返しにありました。お客様をはじめ、支えてくださっている多くの方々や仲間があってのことです。ありがとうございます。
そこに駆り立てられたのはバリスタという名の「最終ランナー」の存在でした。ことに2009年のジャパン・バリスタ・チャンピオンシップは当に感動のひと言。
技術もさることながら、なんと云っても感動的なプレゼンパフォーマンスはいつまでも心に残るものです。その情景が浮かぶんですね。観戦された多くの方々にも見たこともない生産現場のことであっても、惹きつけられるんです。ぐぐっと。なぜ、このコーヒーを選び、バリスタとして何を伝えたいか....それがジンジン伝わって来るから感動が生まれるんですね。
そう思うと、いてもたってもいられなくなって....その時つくづく思ったんです。コーヒーが好きでいられることがありがたい。生産現場からお客様のお手許にお届けするまでの長い道のりはみんなが主役の「共同作業」で融和の結晶なのだと。
新年はエスプレッソドリンクにエチオピア・シダモが加わります。今のところ、ケニアにホンジュラス、そして新入りのシダモの布陣でご提供させていただきます。ご期待くださいね。