いつものことですが、アワード・セレモニーは本当に感動します。
生産者にとっては、それはそれは特別な晴れの舞台がこのセレモニーですので、ノーネクタイとはいえビジネスカジュアル風に装い、集合時間にホテルのロビーに行くと。OCIR(ルワンダ・スペシャルティコーヒー協会)から、ポロシャツと帽子が配られていて、審査員全員がそれを着用しセレモニーに立ち会うことになり、気分は更に高揚しました。
最初はこんな風
慌てて着替え、こんな風
いざ、出陣!
背中にはRwanda Coffeeのロゴが。写真は大阪の田代珈琲さんの田代社長の背。田代社長は非常に熱い方でした。はい。
宿泊先のホテルから約15分、会場となったキガリ・セレナというホテルはハリウッド映画にでも出てきそうな豪華で巨大なホテルです。エントランスではとても厳しいセキュリティとボディチェックがあり、カメラもチェックされました。本当にカメラかどうか?動作チェックもされました。
政府関係者の方の案内で通された会場は当に圧巻。ステージに向かって右側が生産者やルワンダのコーヒー関係者のみなさん。そして、通路を挟んで左側が、私たち国際審査員と国内審査員、この品評会のサポート関係メンバーの席がありました。とにかく広い広い会場とたっくさんの人、人、人!このような光景ははじめての経験です。
生産者とその関係者は緑のTシャツ、国際審査員は白のポロシャツ、国内審査員とサポートメンバーは茶色のTシャツと一目でわかるようになっています。
私たちが席に着くと、国の歌なのでしょう、踊りたくなるようなリズムで大合唱が始まり、手拍子もリズミカルです。その歌は私たち、そして、この品評会に関わった全ての関係者に向けて敬意を表すものだそうです。
今回の審査に当たった、国内審査員と国際審査員ひとり一人に、ACE( Alliance For Coffee Excellenceの略で米国のNPO)エグゼプティヴ・ディレクター、スージー、ヘッドジャッジのポールから参加の証として賞状が贈られました。
ルワンダの国際審査員の若いお二人
その後、伝統の踊りと歌を披露してくれました。これは本当に圧巻。リズム感に乏しい自分ですが思わず身体が反応してしまいました。リズムを取る手拍子も手が痛くなるほどに....
それは、まるでアフリカの大地を駆け巡る野生動物を象徴化するかのようで、素晴らしい躍動感に溢れていました。
その時です!アースウインド&ファイアーとジョン・コルトレンがアフリカに惹かれていた頃の音楽が心耳に響き渡り、踊りや太鼓のリズム、そして歌が一緒に
同時再生されたかのような不思議な感覚を体験しました。リズムこそ違いますが、太鼓のリズムは和太鼓がそれに近い感覚かも知れません。
踊りのフィニッシュ!そのキレのよさと最高の笑顔に感激!鳥肌が立ちました。
いよいよ、セレモニーもクライマックス。結果発表の時を迎えました。入賞した生産者のみななさんは大喜び、会場も沸き上がります!
今回、チャンピオンに輝いた生産者(右)とウエットミルのオーナーです。
セレモニーが終了し、屋外に設けられた会場で生産者の方々や生産処理施設の会社とのラウンドテーブル。
3位入賞の生産者の関係のみなさんと、隣がオーナー。
これで、ルワンダ・カップ・オブ・エクセレンスのご報告はお終いです。
はじめてのアフリカ大陸、ほとんど一人での渡航、長いトランジット、はじめてづくしの審査会でした。
何度参加させていただいても、このカップ・オブ・エクセレンスのプログラムは本当に素晴らしい。その起こりをお伝えすると長くなりますので割愛いたしますが、少しだけ。
国際コーヒー機構=「ICO」が「ITC」( UNCTAD/WTO)に付託した「ITCグルメコーヒー可能性の検証・プロジェクト」(1997年〜2000年)に5カ国が選ばれ、生産者の自立を促すべく高品質コーヒーの試作生産がなされたことを期に、その高まりと一握りの熱い情熱を持ったブラジルの生産者と、このプロジェクトのメンバーの方々の手によって1999年、ブラジルで品評会が行われました。これが記念すべき第1回目のカップ・オブ・エクセレンスの開催となりました。
この時、現在、ACEのエグゼプティヴ・ディレクター、スージー・スピンドラーの提案により、入賞ロットの販売を国際インターネットオークションによって行われ、上位10ロットを対象に開催されました。
結果は大成功に終わりました。現在のカップ・オブ・エクセレンスのプログラムの土台がここに築かれたわけです。そして、去年のニカラグア・カップ・オブ・エクセレンスは50回目の記念開催となり、世界各国から名だたるカッパー(審査員)が招致されました。
この品評会における審査方法や評価基準を作ったのが、アメリカのロースター、ジョージ・ハウエルです。彼は伝統的なブラジルの評価方式である欠点チェック方式を改めた評価基準を確立し、このプログラムにおける評価基準の生みの親であります。
現在も彼が確立した評価基準が継承されていますが、品評会を重ねていく中、これまで構築されたノウハウが加味され、引き継がれています。
横井珈琲がスペシャルティコーヒーというものに取り組みはじめたのが2000年ですので、ちょうどこれらの「起こり」をリアルタイムで体験できたわけで、それはとても光栄なことでした。
そんなことをふと、ファイナルのカッピング中に思い起こした時、胸が熱くなり涙腺が緩み始め、感謝の気持ちで一杯になりました。
品評会の開催にあたって多くの方々の土台や生産者のみなさんの一年のご苦労やこれまでの思いがぐるぐると頭を巡り、コーヒーオタクの会社員出身で生意気盛りもピークに達していた1996年、横井珈琲の開業当初を思い出しました。
コーヒーの味は焙煎で創られ、抽出で完成する!と信じて疑わなかった自分が、スペシャルティコーヒーとの出会いにより、その小さなこだわりが一瞬にして打ちのめされた頃のことが思い出されました。
そして、これはまずい!勉強しなくっちゃ!と、偶然にも出会った全国の仲間達とともに歩んできたこの10年。そのひとり一人や迷惑かけっぱなしの家族、支えてくださったたくさんの方々の顔がまぶたに浮かんできました。ありがたいな....って。
そんな訳でこの10年という一つの通過点という名の節目に、ルワンダ・カップ・オブ・エクセレンスに参加のチャンスを与えてくださった方々、審査員メンバー、ACEのみなさん、ルワンダのコーヒー協会、OCIRの関係の多くのみなさん、そして、生産者のみなさんに横井力は心より感謝いたします。本当に本当にありがとうございました!
次回以降、ルワンダの品評会以外でのでのあれこれをぼちぼちお伝えして参ります。ではまた!