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2011/08/22

南米の旅路その14/サント・アントニオ・デ・アンパーロ第2日その1

さて、前回の続きです。今回はサント・アントニオ・デ・アンパーロに来て2日目の様子をお伝えします。

【7月27日】

おいしい朝食をいただき、カンブライアさんが運転する車で彼が所有する農園を回りました。ファゼンダハウスから30分くらい走るとブラジルならではの風景が広がっています。

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カンブライアさんはあとでお伝えする生産者協同組合の代表でもあるし、ご自身の農園をいくつも所有していますので、多分この町で知らない人はいないんじゃないか?と思えるほど車を運転しながら道行く人に声をかけたり、かけられたりしていました。

でも何よりもカンブライアさんの人柄でしょう。彼の回りは笑いが絶えません。運転中携帯がなるとハンズフリーになってて元気よく応対されていました。大笑いしたのがこうです。

「モシモシー カンブライアデース アリガトゴザイマース」

おやっ?(笑)

誰と話しているかと思えば、相手は日本人ではありません。これが彼流の電話の出方なんですね(笑)恐れ入りました。数々の日本語を知っていましたし、丸山珈琲の丸山さんからも、また新しい日本語を習得していました。

さて、このサント・アントニオ・デ・アンパーロは現在人口約18,000万人(うち、郊外に6,000人)。かつての収穫最盛期は町はひっそりしており、多くの農園には主に女性のワーカーで溢れていたはずが、現在は生活保護の保証プログラムが施行されて以来、今度は町に人が溢れるようになったそうです。

確かに働き盛りとおぼしき方々が小さな町のあちこちにいました。そんな時代の趨勢もあって、彼の農園では人手不足が深刻なのだそうです。

代わっての担い手は現在は機械です。メカニカル・ハーベストと云って機械による収穫です。6%の金利で2台の機械を購入。それでも人件費に比べると安いそうです。

いくつもの悩みを抱えつつ、カンブライアさんは高品質なコーヒーを生み出すべく、新しい挑戦をされていました。

コーヒーの生産にかける思いがひしひしと伝わってきます。ポジティブでアクティヴなカンブライアさんの姿を拝見していると元気が出ます。よし、もっとがんばろうって。

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機械での収穫の様子

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【地面に平行に出でいる棒が回転しチェリーを収穫します】

機械のオペレーターのスキルで品質やコーヒーの木に与えるストレスが異なるそうで、不慣れなオペレーターが収穫作業を行うと、木が枯れてしまうことがあるそうです。

ワーカーの手を借りるにも人手を集める苦労が伴う、生産処理効率を上げるためにはこういったリスクとコストとの兼ね合いもある。品質とのバランスも考えねばならないとのこと。

収穫の方法や生産処理全般に云えると思いますが、この方法がベストというのはなく、その環境にあった方法がベストであって最後は一杯のコーヒーのおいしさが果として表れると思います。

当たり前かも知れませんが、そういった一つ一つは私たちよりも、生産者が一番よく知っているんです。ボリビアでもそれを強く感じました。

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先ほどの機械で収穫したコーヒーチェリーは見事に熟しています。

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ちょっと逸れますが、私はお中元やお歳暮で北海道のおいしいものを大切な方々に送るとき、いつも相談する生産者やそれらを束ねる問屋さんの社長がいます。

「社長!去年トウモロコシが大評判でしたので、ぜひ今年も!」と尋ねると、「それはよかった。でも、今年はメロンがおすすめですよ。しかも規格外のがね」

おお!カタチではなくここでもおいしさ優先されている。買う側、贈る側にとって嬉しい情報です。

といった感じです。生産者は今年の作柄がどうか、どこの畑で採れる作物が一番おいしいかをよく知っているんですね。

ですから、私たちはそういった生産者のひとり一人の存在がありがたく頼もしいのです。もちろん、ビジネスも大切ですが、何よりも仲良くなることではないかと。お互いの意とするところがだんだん見えてくる、理解できるようになってくる、いや、理解したくなるんです。

つまり、どうやったら相手が喜んでくれるか?モチベーションを高めてくれるかってことでしょうか。ぼやけてかすんでいた色々なことが今回の旅でやっと身体と心にフィットし、焦点が定まりました。

スペシャルティコーヒーを求め、何もわからず走り始めた2000年の頃、小さな小さな自家焙煎店の経営者が志を一つに、ひた走ってきました。

もちろん、色んなことがありましたよ。でも頑張ってきて本当によかった。

そして、ボリビアやホンジュラスのカングワルの山奥に行ったとき思ったんです。バイヤーの丸山さん最初は一人でこんな山の中に何度も来ていたんだなぁ....って。

ぎゅぎゅっと胸の奥が熱くなりました。

今となってはみんなも動けるようになり、カップ・オブ・エクセレンスの品評会に出かけたり、こうやって一緒に産地を回れるようになりましたが、買付をはじめた当初は中々自由がきかなかったのです。

応援してくださる皆様のおかげです!ありがとうございます。そして、支え合ってきた仲間とその家族、スタッフのおかげです!

では、サマンバイア農園の話題に戻ります。

カンブライアさんのコーヒーの魅力はナチュラルだと思うんです。もちろん、パルプトナチュラルにも素晴らしいものがありますが、エスプレッソにはカンブライアさんのナチュラルがよく合います。

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乾燥処理を待つナチュラルのコーヒー。干しぶどうみたいでしょう。それにしても見事なチェリーです。

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パティオで乾燥中のコーヒーチェリー。この後、乾いた果肉を除去します。

現在サンバイアをはじめ所有の農園で生産されるコーヒーは4000俵(60kg麻袋換算)ですが、将来は6000俵から8000俵を目指しているそうです。

農園を巡りながらお聞きした話でとても興味深かったのが、「フーリーナチュラル」という生産処理です。初耳でした。

通常、ナチュラルはチェリーを収穫したあとグリーンセパレーターという選別機にかけて、よいものとそうでないものを分けますが、このフーリーナチュラルは、グリーンセパレーターを介さず、チェリーは手積みで行い、即、乾燥工程に入るというものです。

大量に生産することは出来ませんが、それが実現したら今までにはない「ナチュラルコーヒー」が誕生するのではないでしょうか。

新しい生産処理の考案から新種を試験的に植えたりとカンブライアさんの挑戦はまだまだ続きます。素晴らしいですね。

ここはカンブライアさんが信頼を寄せる熟練のワーカーさんのスキルがあってこそ生まれる発想だと思いました。

カンブライアさんとワーカーさんの距離感と云いましょうか、信頼関係で強く結ばれているんですね。当たり前と云えば当たり前かも知れませんが、その場の空気感で伝わってくるものがありました。

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カンブライアさんは生産処理施設や誰がどれだけ収穫したかなど履歴もきちんと管理されています。

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私と伊東屋珈琲の伊東さんがお聞きした話などをまとめながら、忘れないようにとポラロイドに画像を納めていると、カンブライアさんが興味深くのぞき込んでいました。と、云うのも、そのポラロイドはノートや紙に貼り付けることが出来るからなんです。

いくつも農園を回ったりするとデジカメの写真だけでは「いつ・どこで・何が・誰の畑だったのか」がわからなくなるのでまとめるのに結構時間がかかりますし記憶も薄れがち。

ボイスメモもいいのですが、カメラを抱え、ノートを取りながら、ツイート用にとiPhoneもポケットに忍ばせていますので、中々うまくいきません。

でも、iPhoneのボイスメモがあった!使えばよかったと...帰国後に気づきました。次回はばっちり使います。

で、カンブライアさんに写真をプレゼンとしたところがこれです。(笑)

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さっそく胸に貼り付けてご機嫌なカンブライアさん

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このアイディアは愛知県のナチュカフェの杉浦さんです。これで情報整理もかなり楽になりました。大活躍でしかも大人気のポラロイドでした。スギウラサーン、アリガトゴザイマース!カンブライアさん風(笑)

カンブライアさんは丸山さんを「コハダサン」とか「ケンターロサーン」とか「マルヤマサーン」と呼びます。(コハダとは丸山珈琲さんのアドレスの@の前がkohadaだからです)そして、伊東さんを「イットーサーン」私は「チッカラサーン」と呼びます。

今回はサマンバイア農園でのスナップをいくつかご紹介してお終いです。次回もサマンバイア農園とカンブライアさんの魅力をお伝えします!

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乾燥処理(パティオ)

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これは、ファゼンダハウスにあったワーゲン

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