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2011/08/14

南米の旅路その7/アグロ・タケシ 第2日目その2

みなさん、こんにちは。今日の札幌は幾分涼しく、朝方は爽やかな風が店に入り込んで心地よかったです。ですが、焙煎機に火が入り気がつくと今日も40度を超えました。私は暑さにはかなり強い方ですが、佐藤夏子焙煎人は暑さに弱い方なので朝から大変そう。

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さて、南米の旅路は「その7」まで参りました。お付き合いいただきありがとうございます。ボリビアのカラナヴィで2泊、アグロ・タケシがあるヤナカチで1泊というスケジュールでしたが、とても長いこと滞在していたように感じました。

アグロ・タケシ農園はいくつかの区画に別れていて、ここは最初の畑から少し離れた傾斜地にあります。ここの農園も見事にチェリーが実を結んでました。

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来年にどんなタケシコーヒーが生まれるか楽しみです!

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私が知る範囲内で標高2000mを越える高地でコーヒーの生産が行われている農園はタケシだけです。2010年のコロンビアのカップ・オブ・エクセレンスのチャンピオンのラ・ロマという農園も非常に標高が高く、ナリーニョというエリアの標高1980mで生産されています。

ですから、アグロ・タケシは世界で一番標高が高く、他に類を見ないテロワールで生産されているコーヒー生産地と云えるでしょう。

標高が高いということはよいことずくめばかりではありません。次のようなリスクを伴います。

■朝晩の冷え込みの影響で霜によるダメージを受ける可能性が高くなる

■生産者コストがかさむ

この2点があげられます。ことに、霜による影響は深刻で、育ちかけのチェリーや木が枯れてしまうので大幅な減産になりますので、生産者にとっては深刻な問題です。

コーヒーチェリーは標高から来る朝晩の寒暖差によって甘みを増し、コーヒーの品質を支える酸の繊細さや複雑な味わいや風味に大きな影響をもたらします。しかしそれは単に標高だけが好影響を与えているわけではないことをアグロ・タケシの農園を回って知ることが出来ました。

■その農園を取り巻く環境(降雨量や土壌)

ある特定のエリアだけに存在するマイクロクライメイト(微少気候)、即ち、それらを含めたテロワールの影響によってコーヒーのおいしさが育まれます。

■コーヒーの品種とのマッチングが大切

環境にあった品種を植えることと、木の健康状態によって、より個性豊かなスペシャルティコーヒーが生まれます。

■重要なポイントはワーカーさんのスキル。熟練の技が品質に影響する

■恵まれた好条件に育まれたコーヒーチェリーは収穫後、常に危険に晒される

その品質のダメージを最低限に抑え、テロワールの再現性を高める生産処理が重要

知識として頭の中にあったもののアグロ・タケシをはじめて飲んだときの感動と共に、思いを巡らせ、まだ見ぬ農園の様子やおいしさの謎が点から線に繋がりました。また、マウリシオさんをはじめ、アグロ・タケシのみなさんからのお話しと、眼下に広がる農園や周りの環境を肌で感じることによって色々なことが立体的に浮き上がりました。

コーヒーの生産はこれがいい!という絶対的なものではなく、その土地・風土にマッチしなければいけないということです。ブラジルの生産処理においても同じくようなことを学んできましたので、順を追ってお伝えします。

ここまでの工程を見ても多くの方の知恵と努力と創意工夫をもって、コーヒーチェリーは「生豆」に姿を変えます。やがて日本に届けられるわけですが、そこから、焙煎という工程を経てお客様の許に届きます。

コーヒーの「種」からお客様が手に持つ「カップ」に至る道のりは、共同作業が幾重にも重ねられ、生産者〜焙煎人〜バリスタへと「コーヒー豆」という名のバトンが渡されます。そして、バリスタが最終ランナーとなって一杯のドリンクが誕生します。

今年も9月にSCAJカンファレンスでジャパン・バリスタ・チャンピオンシップが開催されます。日本チャンピオンは2012年オーストリアのウイーンで開催される世界大会の出場権を得ます。

セミファイナルに出場される16人のバリスタの皆さんが持てる力を如何なく発揮し、最終ランナーとしての大役を無事終えられますよう、応援よろしくお願いいたします!

話題が逸れてしまいました。すいません。では、引き続きアグロ・タケシの魅力についてお伝えいたします。

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画像は赤く実ったチーリーから生豆を取り出したところですが、驚いたことに果肉の厚みがあるんです。

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しかも取り出した種(生豆とはまだ云いません。ペルガミーノとも云いません)は、粘液質に覆われています。これまで見てきたものに比べると生豆を覆う粘液質の量と厚みが違います。口に含むととても甘いんです。丸山珈琲の丸山さんも驚かれるほど。手タレはアグロ・タケシのマリアナさん

果肉の厚さとこの粘液質は標高とテロワールからくる好影響で最初の農園(1960〜2100m:カップ・オブ・エクセレンスで入賞ロットが収穫されたところ)には見られない結果がここで証されたそうです。

アグロ・タケシ全体のテロワールの特徴をマウリシオさんが教えてくれました。

■土壌がよい
 ・1m〜1.5mの有機層で出来ている
 →実際農園を歩いてみるとふかふかの土でまるで座布団の上を歩いているようでした

■有機層には石がたくさん埋まっていることから水はけがよく蓄熱効果がある

 ・日中の日差しを土を介して石に蓄熱される
 ・結果、土中の温度が一定に保たれ、木の根に好影響をもたらしている

■標高3000m級の山々とムルラタ山(5668m)に囲まれた谷間がポイント

 ・微小気候による特有の環境は他のエリアからの影響が少ない

 ・ここの斜面は朝陽がゆっくりとやさしく当たることと日照時間が長い

では少しでもイメージしていただきやすいように、数枚の画像をもってご説明いたします。

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これは首都ラパス方面、つまりイリマニ山方面の画像でこの画像の反対方向にはムルラタ山がそびえ立っています。このあたりの地形をGoogle Earthで検索すると面白いです。

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コーヒーの木は山々に囲まれています

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アグロ・タケシの品種はティピカです。

前にご説明いたしましたとおり、ティピカが適しているかどうか、また品質がそれに伴うかどうかは数年かけての検証が必要なので品種=高品質とは限りません。

また、この品種は一般的にお客様の目に触れることが多い鈴なりに実るコーヒーチェリーとは異なり、1本の木に実るチェリーの数が非常に少ないことから、生産量にも限りがあるうえコストもかかります。

アグロ・タケシの収穫時期は概ね8月から12月です。訪れたのは7月25日ですから、収穫時期よりも少し手前でしたし、この環境下で4ヶ月かけて熟していくことも、この環境ならではないでしょうか。

一般的に「農園」と云いますと、地平線まで続く「大農園」を連想されることが多いかと思いますが、このアグロ・タケシや中央アメリカの小規模生産者の農園はこじんまりとしている農園が多いです。ですから、農園というよりも「畑」といった方がしっくりくるように思います。

では同じ国でも環境と品種の違いによってチェリーの熟度の違いをご覧ください。写真はカラナヴィのマルセリーノ・カタリー農園のもので、品種はレッド・カトゥアイで標高は1500mです。

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アグロ・タケシに訪れた時、コーヒーの木、即ち、農園は目に入らず回りの山々やムルラタ山の存在が大きく、どちらかと云えば背が低くやや小振りなコーヒーの木とのアンバランスさが印象的でした。

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少し長くなってしまいましたので、この続きはまた次回に....よろしくお願いいたします。写真中央の万年雪の山がムルラタ山です。ではまた!

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