中米買付の旅路 最終章 グアテマラ4日目/サンペテ
買付の旅路はスギコーヒーロースティングの杉浦さんとご一緒し、3月4日に成田を発ち、3月5日(月)夜遅くにコスタリカのサンホセに到着。丸山珈琲の丸山さんとはコスタリカのホテルで合流し、3月8日まで19のマイクロミルを回り、114ロットをカッピングしました。
同日、夜遅くにグアテマラシティに入り、翌日から3月11日まで5カ所の農園を回りました。翌、早朝にグアテマラを発ち、ダラスでトランジットのため一泊。3月14日に帰国しました。
もっともっと、早くにご報告を....と思いつつも、5月も終りになりました。すみません!
今回のブログで旅の締めくくりとさせていただきます。では、さっそく最後に訪問した、世界一美しいと云われる、アティトラン湖のほとりに広がる、サンペテ協同組合の様子をお届けいたします!
グアテマラはコスタリカと違って産地(地区)を回るためには、移動距離が長く道も険しいです。
▼峠を越えると見えて来ました。アティトラン湖です!
▲左からアティトラン、トリマン、小さいのがセロデオーロ、サンペドロという山々に囲まれています。
▼峠を下るとサンペテの看板が見えてきました。
さて、サンペテにはじめて訪れたのは、丸山さんと中原さん他で、2009年2月のことです。帰国後、丸山さんからその様子や彼らが抱える様々な問題をお聞きました。
そして、中原さんは2009年のジャパン・バリスタ・チャンピオンシップでは彼らのことを英語によるプレゼンに込められました。本当にあのプレゼンは心に残る素晴らしいものでした。
センサリージャッジのジャスティンさんは身を乗り出し、同じくセンサリージャッジのボンタイン珈琲の加藤さんは目を真っ赤にされ、プレゼンを聞き入っておられた様子は、今でも鮮明に残っています。決して忘れることのない感動的な15分間だったんです。
そんな思いもぱんぱんになってサンペテ協同組合に到着しました。この日も素晴らしいグアテマラ晴れ。
みなさんと合流してご挨拶してから少したった頃。丸山さんが「前は彼らには笑顔がなかったけど、今は笑顔が戻っていて、本当によかった...」と、ひと言。
かつてはカップ・オブ・エクセレンスにも入賞経験のある彼らでしたが、資金面のみならず、抱える問題が大きく、精気さえも失われた状態だったのです。
確かに以前、見せていただいた当時の写真には深く沈んだ表情ばかりでした。
彼らのその問題の全てを、ここに書ききれるものではありませんが、中原さんは、「バリスタとして出来ることを....」と、大会前の約半年前に訪問した際に、感じられた思いも込め、プレゼンされました。
◎資金がないため湖から水をくみ上げる術が無いため、生産処理が出来ないこと
◎そのため、コヨーテという仲買人にチェリーごと買い叩かれる負のスパイラルが生じる
大会の結果は、多くの方がご存知の通り、2009年のJBCチャンピオンになられ、ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)ロンドン大会に出場されました。それはそれはとても感動的な瞬間でした。
そして、優勝賞金をこのサンペテのみなさんに贈られ、彼らは湖から水を汲み出すポンプを設置でき、生産処理が出来るようになったのです。
その後、他国の団体からも支援を受け、パティオ(乾燥場)の改装と増設、組合事務所、倉庫などが新しくなっていました。
▼コンクリートだったパティオも立派な石のパティオになりました。このことにより、コンクリートの破片が生豆に混入することもなくなります。
▼事務所の二階部分を増築して新たに新設されたパティオ。
▲パティオの隣にはぺルガミーノを保管する倉庫が改装されていました。向こうに見える山は、左がアマティトラン、右がとトリマン。
▼これが共同で使用する、ウエットミル(コーヒーチェリーの果肉を除去する機械)
▼生産処理を終え、デリバリーを待つペルガミーノ(種皮に覆われた脱穀前の状態)
▲丸山さんとのツーショットは心持ち緊張の面持ちで....
▼農園は組合事務所を出て湖の方向に進んだところの傾斜地に広がっています。ここからすぐなんです。湖面が少し見えますでしょうか。
▼農園の入り口
▼アマティトラン湖をバックに!
▼収穫は既に終わっていますが、少しコーヒーチェリーが残っていました。
▼農園から見下ろす絶景、アティトラン湖!
みなさんとお別れの前にちょうどお昼を回る前でしたので、皆さんと一緒に近所のレストランでランチタイム。
お魚とお肉がメインのランチでした。私はお肉をチョイス。そして、旅の終わりを告げるランチでしたので、珍しく飲めないビールをぐびっと...
▲一見固そうに見えましたが、やわらかくてとてもおいしかった!
楽しいランチの後、再会をお約束しここでみなさんとお別れです。
グアテマラのカッピングは翌日でしたが、私と杉浦さんはフライト時間の関係から、丸山さんにお任せし帰国しましたが、サンペテはとてもよかったとのご報告を受け、更に期待を膨らませたのでした。
コスタリカとグアテマラを回って最初に感じたのは 、コスタリカは「芸術」、グアテマラは「伝統」です。
コスタリカは革命とも云うべき、生産処理をマイクロミル(小規模生産処理場)というシステムを通し、芸術的に発展させ、テロワール(コーヒー栽培の環境)とマイクロクライメイト(微小気候)にマッチした品種を植え、素晴らしいコーヒーが生産されます。
グアテマラは、品種のバラエティではコスタリカには及びませんが、ある意味、伝統とも云うべき、絶対的な品種があって、スペシャルティコーヒーの発展と伝統が共存共栄して、進化し続けているのではないか。そして、それは民族の伝統文化と重なり、もう一つのグアテマラコーヒーの魅力が潜んでいる....そんなことを今回の旅路で感じさせていただきました。
共に感じますのは、生産者と私たちを結んでくれるキーマンの存在が、とても大きいと云うことです。コスタリカではエクスクルーシブコーヒーのフランシスコ・メナさん、グアテマラではコーディネーターのオルガ・アヤウさん、サン・ヘラルド農園のポール・スターリーさん。本当にありがたく思います。
これらの方々なくしては、私たちの買付は成り立ちません。
そして、私たちのバイヤーを担ってくださっている、丸山珈琲の丸山社長に心から感謝しています。
素晴らしいコーヒーを生産していただく鍵は、深い「絆と信頼関係」にあり、そのコミュニケーションの継続は、おいしさ(品質)に直結します。
先日、あるワインジャーナリストの方とお話しする機会がありましたが、とても感銘を受けたんです。
「素晴らしいぶどうを育てる環境があり、可能性を見いだせたら買い続けること、現場に足を運び続けること、問題を一緒に考え、「飲み手」、「使い手」を繋ぐお手伝いを継続していく。」
私もその担い手の一人であるということを、ここでもう一度、認識を新たにし、生産者の方々、それを取り巻く方々の思いを違えることなくまっすぐに、お客様においしさをお届けできるよう、努力精進して参ります。
超ロングランになってしまいました、中米買付の旅路でありますが、最後までお付き合いしてくださいました皆様、本当にありがとうございました。
お終いに、サンペテで撮影したお気に入りの中の一枚でお別れです。(現在HPのアニメーション画像の一枚です)サンペテの生産者とサン・ヘラルド農園のオーナーのポールさんの写真です。
生産者協同組合:サンペテ/Tzampetey
地域:ソロラ県/Solola
地区:サン・アントニオ・パロポー/San Antonio Palopo
標高:1500m〜1700m
品種:ブルボン/Bourbon
生産処理:フリィ・ウォッシュト/Fully Washed
乾燥処理:パティオ
収穫期:12月〜3月