3月上旬、はじめてパナマを訪問しました。コスタリカの買付を終え、首都サンホセのファン・サンタマリア国際空港からパナマ・ダヴィデ空港へ40分ぐらいのフライト。エクシクルーシブコーヒーのフランシスコがコスタリカに続き、行動を共にしてくれました。
おかげさまでドン・パチ・ゲイシャはご好評をいただいており、不定期ではありますがこまめに試飲していただいております。この機会にパナマのゲイシャ種という品種のコーヒーの魅力をお伝えできればと考えています。数に限りがございますが、ぜひ、ご賞味くださいませ。
パナマコーヒーは「ボケテ」「ボルカン」「カンデラ」の三つの主要産地があります。私たちが長くお付き合いのある農園は、ボケテ地区にあります。「エリダ農園」や「ママ・カタ農園」はご記憶に新しいお客様も多いのではないかと思います。そして限定発売中の「ドン・パチ農園」の他、「ドン・ぺぺ農園」があります。
パナマは小さい国で、年間10万俵のコーヒーが生産されますが、その70%が国内消費に当てられており、地方消費のためにコーヒーを輸入している国でもあります。生産国にして消費国でもあるわけです。面白いですね。また、生産国でありながら、主要産業はコーヒーではなく、金融、物流、パナマ運河がメインです。他の中米諸国とはこのあたりが大きく違います。
さて、空港に降り立ったとき妙に蒸し暑かったので温度計を見るとなんと37度!フランシスコが運転するレンタカーでボケテを目指します。山間に進むと徐々に涼しくなり最初の目的地、エリダ農園に到着したときの気温は13度もの気温差で24度でした。気温も年間通して温かく、道には南国の花がいたるところに咲ほころんでおり、ちょうど北海道でしたら5月のGW前後のうららかな春の気候といった感じです。
さて、パナマといえば、ゲイシャという品種が注目される前と後で、コーヒーの歴史がかわったことで知られています。それは、ある特定の区画のロットから、エチオピア・イルガチェフェを彷彿とする華やかな香りを有するコーヒーが発見されたことにはじまり、2004年のベスト・オブ・パナマという品評会では、当時の最高価格でエスメラルダ農園が落札されて以来のことで現在もその人気は続いています。
今回のパナマ訪問でパナマコーヒーの歴史がゲイシャによってどう変わってきたのか、気になるところがたくさんありましたが、大変興味深い話をあちこちでお聞きいたしましたので、数回に分け、まず、エリダ農園からご紹介して参りますね。
▲左から2番目がラマストゥスさん、お父様のフェリペさん、丸山珈琲の丸山さん、横井、丸山珈琲の関口さん
農園名: パナマ・エリダ/Panama Elida
地区:チリキ県/Chiriquí
小地区:ボケテ地区 アルト・キエル/Alto
Quiel,Boquete
農園主:ラマスタス一家/Lamastus Family
標高: 1670m~1980m
品種: レッド・カトゥアイ/Red Catuai ゲイシャ/Geisha
生産処理:ウォッシュト/Washed ハニー/Honey ナチュラル/Natural
農園面積:64ヘクタール
コーヒー栽培エリア:30ヘクタール
1918年より、ラマスタス一家によって営まれている、パナマのボケテ地区にある農園です。中米でもっとも高い火山のひとつ、バル火山の裾野にあります。大変急斜面で、標高1,670~1,980mにあり、国内でもっとも標高が高い地域に位置しています。エリダ農園は国定公園内にあり、敷地全体で64ha、このうち30%がコーヒーが栽培されています。現在、サビ病は発生していない。
訪問した頃は、収穫期がひと段落したところで、チェリーは残り20%の収穫となっていました。12月からピッキングを開始していてこれは例年より1カ月早いという。標高が高いこと、ほぼ25%ほどゲイシャの収穫が残っていることから概ね5月頃まで収穫が続くとのこと。
農園は国定公園の保護林に囲まれ、他の木を切り倒してコーヒーを栽培することは出来ないがオープンスペースがあり、そこで他の木を切らなければ植えて良い事になっているそうです。
農園を回っている最中にもこれからゲイシャ種を栽培しているエリアが複数ありましたが、これまで認識していた農園風景とは異なり、森と一体化した中にコーヒーの木が植えられてました。国定公園に囲まれてコーヒーが生育しているということは、聞いていましたが、それがどういうことなのかが、訪問してよくわかりました。森のにおいと苔やシダに囲まれた農園と寒暖差の差が狭い範囲でめまぐるしく変わる環境(マイクロクライメイト:微小気候)を肌で感じることができました。
この農園は1670mから栽培がスタートしており、 1800mぐらいからは、ボルカルバル国定公園に入ります。この付近ではツリートマト、ブラックベリー、ピーチと一緒にゲイシャが栽培されていました。ツリートマトもブラックベリーもピーチもびっくりするほど甘く、ブラックベリーはフローラルな印象が素晴らしかったです。
▲コスタリカのベジャ・ビスタ農園でもごちそうになったツリートマト
▲ブラックベリーとピーチ
▲フローラルでとても甘いベリーたち
さて、車でやっと通れる山道をゆっくりと進み、1870mに達するところにもゲイシャ種が栽培されいていました。先頃カリフォルニア行われた、Good food Awardに、312のゲイシャサンプルが出品された中、このエリダ・ゲイシャは1位を獲得したと話してくれました。ここの環境では、1800m以上の高地がゲイシャに適しているとのことで、いたるところにゲイシャが植えられていました。
ゲイシャは葉の色によって「グリーンティップ」「ブラウンティップ」があるということをここではじめて耳にしました。カッピングによって判明したとのことでしたが、「グリーンティップ」の方が純粋なゲイシャに近いそうで、「ピュアゲイシャ」と呼んでいました。つまり、グリーンティップの芽が出たゲイシャはブラウンよりも美味しいとされる、とのこと。
エリダ農園を回った後、SCAP(パナマのスペシャルティコーヒー協会)に移動し、ボケテを代表する「ママ・カタ」「ドン・ぺぺ」「ドン・パチ」「エリダ」の4農園をブラインドでカッピングしました。
この時のセッションでダントツのポテンシャルで平均点90点を超えたロットが、エリダのナチュラルで、グリーンティップのゲイシャでした。とにかく素晴らしく、ナチュラルとは思えないくらいクリーンな味わいとバラのようなフレーバーやベルガモットにレモングラス、パッションフルーツといった様々なフルーツがとても印象に残っています。
▲こちらが「グリーンティップ」と呼ばれていたもの
▲こちらが「ブラウンティップ」と呼ばれていたもの、葉の先端がやや茶色っぽくなっています。
そして、さらに登ること標高1900m!そして、そこからさらに農園の頂上である、1980m地点では、コーヒーの生育にはとても厳しい環境です。ひとつにコーヒーチェリーが赤く熟するまでにはとても時間がかかるためコストがかかりますが、コーヒーチェリーの比重が重くなり、香りや酸の質が豊かになります。ですから、お父様のフェリペさんがこのエリアにかけた情熱は計り知れません。夕方前というのに肌寒かったのですが、空気が澄み切っていました。そして、頂上からは「ママ・カタ農園」「ドン・パチ農園」「レリダ農園」などを眼下に見ながら生産処理場に戻り、プロセスについてお聞きしました。つづく!