7月21日に日本を出発し、ボリビアのカラナヴィとヤナカチを回った後、ブラジルはミナスジェライス州にある、サント・アントニオ・デ・アンパーロを回りました。
南米の旅路、最後の訪問先はカルモ・デ・ミナス。
ブラジルではサマンバイア農園の次にお付き合いが長い生産者グループがあります。
ここのみなさんとは、2002年のカップ・オブ・エクセレンスでアグア・リンパ(クリスチーナという村)の落札を機に、隣町のカルモ・デ・ミナスのセルトングループをはじめとする複数の生産者とのコミュニケーションを重ね現在に至っています。
では3泊4日の様子を数回に分けてお伝えいたしますので、よろしくお願いいたします。
【7月29日】感動のカッピングセッション!
夕方、サントアントニオドアンパーロを離れ車で5時間かけ、夜の8時過ぎサンローレンソという町にある、ホテル・セントラル・パークに到着。
今回の訪問先カルモコーヒーのジャックスとロビーで再会。2009年のSCAJ以来です。(カルモコーヒーのことは後日お伝えします)
その夜、私たちはホテルから歩いてすぐのところにある、彼のマンションに招かれました。
女の子が去年生まれたばかりで何かと気ぜわしい中、奥様は私たちに日本食を振る舞ってくれました。かなりの本格派でとてもおいしかった!
しかも、巻き寿司!デザートはレモンのムース!これもとてもおいしかった!
それもそのはず、以前、オーストラリアの日本食のレストランで働いていただけあって、奥様の腕前はホント素晴らしかった!
そして何よりも....日本を離れて10日ほど経っていたので日本食が恋しい時でしたので、お気遣いにとても感激しました。
【7月30日】
この写真、パン屋さんの店内ではありません。ホテルの朝食バイキングのほんの一部です。すごい品数ですね。
フルーツも選び放題食べ放題(笑)どれもおいしい。
サンローレンソの町はとても静かな観光地。石畳がヨーロッパの空気を感じます。
ホテルから20分ぐらい山間に進んだところにカルモ・デ・ミナスがあります。最初にカルモコーヒーのオフィスに行きました。
ジャックスバリスタ?さっそくエスプレッソをふるまってくれました。
生産者から届いたサンプルがびっしり
一息ついて、ジャックスが用意してくれた37ロットのサンプルを3回に分けてカッピング。
何気にカメラ目線の伊東屋珈琲の伊東さん
左から2番目がシティオ・ダ・トーレのオーナー、アルヴァーロさん、そのとなりがカルモコーヒーのルイス・パウロと歓談中の丸山珈琲の丸山さん
そして、ジャックスとカルモコーヒーのスタッフ
2セッションが終わって昼食。この日はバイキング形式のランチで重さで値段が決まるというこの町のレストランではポピュラーだそう。
その後、ドライミル工場を見学(果肉を除去しペルガミーノという種皮を取り除く工程)
ペルガミーノを取り除いて生豆になります。このように選別されますが国や生産現場によっては手で選別(ハンドピック)するところもあります。

麻袋に詰められ保管されます。
カルモ・デ・ミナス晴れ!ブラジルの赤い土が印象的。サントアントニオドアンパーロよりも山間で標高が高いことがわかります。
ここがカルモ・デ・ミナスの中心部。閑静な住宅街の中にカルモコーヒーのオフィスがあります。
カルモコーヒーのオフィス
そして、最後のセッション。セッションが終わると拍手がわき起こり、思わず私たちも拍手喝采。
そして、ルイス・パウロから丸山さんに封筒が渡されました。
ルイス・パウロは「ケンタロウみなで相談した後、開封するように...」と1枚の封筒が渡されました。
最後はきっちり一つ一つ、ディスカッションを行います。そこではじめて農園が証されます。今年のカルモ・デ・ミナスは大豊作で昨年の2倍で品質も過去最高(6年間)
この四年間、木の健康状態を保つため、プルーニング(剪定)を重ねてきた結果とジャックスから説明がありました。
そして更に、カルモコーヒーの設立は2005年。当初、セルトングループのシェアは2005年で3%だったものが、現在は65%までになった。
カップ・オブ・エクセレンスで数々の入賞農園を輩出してきたこと、私たちがチャンピオンや上位入賞のロットを数多く落札していることによる影響が大きい。とジャックス。
どのロットにも云える特徴は甘さです。とても甘いのです。
ルイス・パウロから都度、農園の発表がある度、「おーセルトン!」「セハード」「シティオ・ダ・トーレ!」「イペ!」と歓声をあげる私たちでした。37ロット、10農園が証されました。
どのロットも本当に素晴らしいんです。かなり目移りしました。
それだけに評価は微妙な差をキャッチせねばなりませんでしたのでとても神経を使いました。
会議室をお借りし、バイヤーの丸山さんを中心にどれをどのくらいで買うか、とても重要な作戦会議です。その後、ルイス・パウロから手渡された封筒を開封しました。いよいよビジネスの話しが始まります。
ジャックスとルイス・パウロに来てもらい、具体的に詰めていきます。丸山さんは今回のカッピングセッションを通し、カルモコーヒーが扱う品質の高さをしっかり伝え、私たちの買付価格を伝えました。
そこで、はじめて彼らが抱える大きな問題や、好景気による金利の上昇から運転資金の捻出が困難で離農せねばならない生産者の現状を聞き、長く長く濃密な会話が続きました。
その時です。
会議室にふわぁ〜っと、とても温かい空気が流れたんです。
ルイス・パウロが目頭を熱くし、ジャックスも目を真っ赤にしています。気がつくと私にも熱いものがこみ上げ、商談が終わったとき丸山さんと固い固い握手の後....はい。その先はご想像にお任せいたします。はい。
カルモコーヒーの二人と私たちの心が通い合ったのです。素晴らしいフレンドシップに感動の熱い一日。私たちが提示した金額よりもフェアな提案に彼らはとても感激してくれたんです。
バイヤーとインポーターという関係を越え、お互いの組織や立場という垣根を越えた丸山さんと彼らとの関係を垣間見ることが出来たのです。
その場に居合わせることが出来た感動は何にも代え難く、コーヒー屋冥利に尽きるひとときでした。心の宝物がまたひとつ増えました。
会議室を出るとそこには、シティオ・ダ・トーレのアルヴァーロさん達が笑顔でお待ちでした。
撮影者、ジャックス。感動で心がまだ揺れているのか、それは私たちなのか定かではありませんが、その時の空気感が映り込んだスナップ。みんないい笑顔。注)私の目、やや腫れぼったいでしょう。(笑)
カルモコーヒーのオフィスを出るとあたりは真っ暗。心地よい疲労感と達成感に包まれた忘れ得ぬ熱い夜でした。
生産者と共に喜びあったこの感動の一つ一つを、お客様にお伝えすることが私たちロースターの使命です。がんばらなくっちゃ!
次回はシティオ・ダ・トーレをはじめ縁ある農園を回った様子をお伝えします。ではまた!